薬でやる気にすることの功罪

投稿日: 2019年3月29日

 Scientific Americanの記事「人工的なやる気の問題”The Problem with Artificial Willpower “」から。

 コーヒーを常飲しているので、カフェインがやる気というか眠気を取って集中しやすい状態にしてくれているような気はします。コーヒーに頼ってる面もあるので、記事のように薬物で人為的にやる気にさせることの倫理的な側面を説かれるとちょっと気まずくなります。

 自分で自分に使うなら良いじゃないかというのはもちろんそうですが、 薬物を使って本人にとって価値のないことを強制する(ブラック企業の環境でも”働くことができる状態”にしてしまう)ことは、雇用関係が支配-被支配の関係になっている環境では危険だと思います。

Might we end up leading deeply inauthentic lives, using pharmaceutically-induced willpower to waft through a life that otherwise means nothing to us?
薬物によって誘導された意志力を使って意味のない人生を歩んでいくことは、自分にとって本物ではない人生を送ることになるのでしょうか。

 

 また、スマートドラッグ(日本国内では認可されていない)と呼ばれるものに認知機能を良くする(頭が良くなる)作用はないようです。 ただし使った本人は効果があったと信じ込んでしまいます。プラシーボで良いのならラムネをかじってた方が健康ですね。

These sentiments are in line with research suggesting that if these drugs have any impact at all, it’s largely subjective.
これらの感情は、これらの薬物が何らかの影響を及ぼした場合、それは主観的なものであることを示唆する研究と一致しています。

 

 たぶんモチベーションを上げる薬とは、嫌いなことを無理やりできるようになる薬ではなく、嫌いなものが好きになる惚れ薬じゃないでしょうか。それを使いたいかどうかは別問題ですが。
参照
The Problem with Artificial Willpower” Hazem Zohny  2015 scientific american
Enhancing Motivation by Use of Prescription Stimulants: The Ethics of Motivation Enhancement” Torben Kjærsgaard 2015
Objective and subjective cognitive enhancing effects of mixed amphetamine salts in healthy people” Irena Ilieva 他2012

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