完了までかかわれることがヤル気を上げます

 TEDxRiodelaPlata「仕事を楽しくするのは何か”What makes us feel good about our work?”

 

 管理職やリーダーシップ研修のプログラムの中にはメンバーのモチベーションを上げる方法なども含まれます。
 メンバーがどれだけやる気を出して仕事に取り組んでくれるかでもちろん成果に違いが出てきます。

 

 作業効率的なことだけを考えると分業で一人に一つの工程を任せる方が習熟して作業が早くできます。これが自動車会社のフォードが大量生産に採用した方法です。
 ところが、この方法では働く人のモチベーションが上がりません。

 フォードの生産方式とは逆にものが出来上がる(仕事が完了する)まで見届けたほうが、働く人にとっては達成感もあり自己効力感も高まります。そして、仕事の完了を自分の手元から離れた、部署から離れた、エンドユーザーに渡った、そのさらに先とどのタイミングだと考えるのかにも人それぞれ違いがあります。

 

 仕事の全体像が見えているリーダーや上司にとっては気にならない些細なことかもしれません。しかし、メンバーのモチベーションを上げることを考えると自部門が全体の中でどのようにかかわっているのか、その結果どうなったのかなども伝えることが大切です。

参照
What makes us feel good about our work?” Dan Ariely 2012 TEDxRiodelaPlata
The IKEA effect: When labor leads to love” Michael I.Norton DanielMochon DanAriely 2012 Journal of Consumer Psychology

信頼は人間関係の基礎

 TED「信頼を構築(再構築)する方法”How to build (and rebuild) trust”

 個人の関係も、組織としても信頼関係が崩れていると上手くいきません。
 システムやルールを作って厳しく適用すれば、信頼関係がなくても思った通りの結果が出るという論もありますが、お互いに信頼していないと自己の利益を優先してズルや誤魔化しが横行します。

 ルールを設定する側が事前にあらゆる事態を想定し、すべての対処方法を決めておくことは現実的でもありません。

 また、ルールで雁字搦めにすれば、それを超えて行動してくれることもなくなります。
 韓非子のように、親切心からの行動でも職分でなければ処罰するという極端さでは組織は硬直化します。

 Freiさんは信頼されるための3つの要素を上げています。

 

There’s three things about trust. If you sense that I am being authentic, you are much more likely to trust me. If you sense that I have real rigor in my logic, you are far more likely to trust me. And if you believe that my empathy is directed towards you, you are far more likely to trust me.
 要素は3つあります 誠実な人間だと思われたら 私は信頼されるでしょう 話に筋が通っていると感じられたら 私は信頼されるでしょう そして 私が相手に 共感していると思われれば 私はきっと信頼されるでしょう この3つの要素が働くと 強い信頼関係が築けます。

 

 1.誠実さ、2.言行一致、3.共感。
 この三つが欠けているリーダーの下では働きたくないですね。

 

And to the leaders in the room, it is your obligation to set the conditions that not only make it safe for us to be authentic but make it welcome, make it celebrated, cherish it for exactly what it is, which is the key for us achieving greater excellence than we have ever known is possible.
そして、ここにいるリーダー格の皆さん。あなた方の義務は 皆がありのままで(誠実で)いられる安心できる環境を整えるだけでなく、これを歓迎し讃え、ありのままでいることを大切にすることです。これが未知の領域に達する優れた成果を遂げる鍵となります。

 

But when we figure out this, when we figure out how to celebrate difference and how to let people bring the best version of themselves forward, well holy cow, is that the world I want my sons to grow up in。
つまり、異なる意見をほめたたえ、その人の最大の力を引き出す方法を見いだすことができれば、 なんとそれこそが私たちの子供が育って欲しい世界なんです。

 

 ここではリーダーが、皆にとって安心できる環境を整える義務があると説明していますが、実際はリーダーもありのままでいられない不安やプレッシャーを感じています。
  チームであるのなら、安心できるような心理的安全のある環境を実現するには、全員が実現のためにかかわる必要があります。

 自分と異なる意見を持つ相手でも、その人のことを信頼できるまで相互理解を深めることが最初の一歩なのだと思います。
参照
How to build (and rebuild) trust” Frances Frei 2018 TED
心理的安全がチームの成果をアップする

尊重し合える場所が良い職場

 TED「同僚を尊重することがビジネスに良い理由”Why being respectful to your coworkers is good for business”」から。

 尊重までいかなくても、相手を見下さないということは良い人間関係を築くうえで重要です。

 暴言や脅迫まがいになるとパワハラですが、そこまでひどくなくても見下されたような失礼な言動や態度を受けると、やる気だけではなく能力そのものが低下して仕事のクオリティが下がります。
 事例はイスラエルでの医療チームですが、どの産業でも変わりありません。

Researchers in Israel have actually shown that medical teams exposed to rudeness perform worse not only in all their diagnostics, but in all the procedures they did. This was mainly because the teams exposed to rudeness didn’t share information as readily, and they stopped seeking help from their teammates. And I see this not only in medicine but in all industries.
 イスラエルの研究者たちは、失礼にさらされた医療チームが、すべての診断においてだけでなく、彼らがしたすべての手順においても、より悪い成績を収めていることを実際に示しました。これは主に、失礼に晒されたチームがそれほど簡単には情報を共有できず、チームメイトからの助けを求めるのをやめたためです。そしてこれは医学だけでなくあらゆる産業で見られます。

 

 見下すような態度をされて心理的な安全がなくなると、チーム内で会話が少なくなり情報共有ができずにミスが増え創造性も低下します。
 その反対に、心理的安全があると感じられるチームでは仕事の効率も上がります。

 相手のことを大切に思っていると伝える態度に特別なことはそれほど必要ありません。

Well, the nice thing is, it doesn’t require a huge shift. Small things can make a big difference. I found that thanking people, sharing credit, listening attentively, humbly asking questions, acknowledging others and smiling has an impact.
 いいことに、大きな変更は必要ありません。小さいことで大きな違いが生まれます。私は、人々に感謝すること、信用を共有すること、注意深く聞くこと、謙虚に質問をすること、他人を認めること、そして微笑することが影響を与えることを見出しました。

 

 医療機関のOchsner Health Systemでは、人と近づいたら3mで笑顔でアイコンタクトし1.5mで挨拶するよう決めて実行したところ患者の満足度が上がりました。

 キャンベルスープの社長(2001-2011)として業績を回復させたダグ・コナントは、相手を大切に思っていることを示す方法として手書きの手紙を渡していました。
 その数は3万人以上になるそうです。1年3000枚としても1日10枚ぐらい書いている計算になります。多分メモ書きぐらいのものが多かったのでしょう。それでも効果があるようです。

 

What I know from my research is that when we have more civility environments, we’re more productive, creative, helpful, happy and healthy.
私の研究から知っていることは、私たちがより礼儀正しい環境を持つとき、私たちはより生産的、創造的、親切、幸せ、そして健康であるということです。

 

 このことがお互いに共通の認識や常識になっている社会だと住みやすいですよね。
参照
Why being respectful to your coworkers is good for business” Christine Porath 2018 TEDxUniversity of Nevada
Mastering Civility: A Manifesto for the Workplace” (未邦訳) Christine Porath 2016 Grand Central Publishing

能力の発揮できない、したくない?

 Harvard Business review「技能のある従業員が能力を発揮できない四つの理由”4 Reasons Talented Employees Don’t Reach Their Potential”」を読んで。

 仕事をこなす技能を持っていることとその能力を充分に発揮しているかは別の話です。
 本人の気持ちの問題もあれば、状況や環境でできなくなっているのかもしれません。
 場合によっては上司との相性が悪かったり、上司の側に問題があることも考えられます。

 リーダー(直接の上司ではない)から見て能力を発揮できていないと思った時に介入の視点としてこの4通りの切り口は役立ちそうです。
 だからと言ってすぐに解決できる話でもないんですが。
 
 ざっくり訳すとこんな感じです。
  ●仕事への適正
  ●ダメな上司
  ●社内の人間関係
  ●プライベートな原因
 詳細は原文をご覧ください。

 

 記事からは離れますが、多くの方にお伺いしているとこの二つもあると感じています。
 ●やっても良いことがない。
  能力を発揮して頑張ってもほめられない、さらに過大な要求をされる。
 ●このぐらいやっていれば十分と思っている。
  報酬に見合った仕事はしている。所掌はこの範囲までと自分で区切っている。

 やる気の問題ともいわれますがこっちのほうがまだ解決の糸口があります。

参照
4 Reasons Talented Employees Don’t Reach Their Potential” Tomas Chamorro-Premuzic 2019.3

一人のバカがリーダーになる瞬間

「リーダーシップとは何か」言葉の定義を始めると人それぞれ結構違いがあります。
 私は「ビジョンを示して、自ら行動し、他人を巻き込む人」くらいのシンプルなもので良いと思っています。

  「ムーブメントの起こし方」Derek SiversTED2010
 3分程度の短いビデオなのですぐに見られます。
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でも1人のバカを リーダーに変えたのは 最初のフォロワーだったのです 全員がリーダーになるべきだと よく言いますが それは効果的ではありません
” but it was really the first follower that transformed the lone nut into a leader. So, as we’re told that we should all be leaders, that would be really ineffective. ”
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 馬鹿げたことでも始めれば一人のフォロワーが現れて、初めはマイノリティだったとしてもフォロワーが増えてやがて集団の25%を超えればそれが当たり前になるかもしれません。

 

 部下やメンバーに対しての評価で「もっとリーダーシップを発揮してほしい」という話を聞くことがあります。 自分にとって都合の良いことを勝手にやって成功した成果だけ献上してほしい、くらいの意味合いだったりする場合があるので内容をよく聞く必要があります(‘Д’)。
参照
https://www.ted.com/talks/derek_sivers_how_to_start_a_movement
https://awakener123.com/tipping-points/

見えるケガ、見えないキズ

 交通事故をわざと起こす人はいません。(もちろん、わざとだと事故ではないというそもそも論がありますが)

 事故で人に怪我を負わすと、相手側によほどの過失がなければ、普通の人は二度と事故を起こさないようにと反省して、その後は注意を払って安全運転を心がけるものだと思います。それでも不幸にも二度、三度と事故を起こしてしまうこともあります。

 そうした場合、自分の運転技術や注意力の何が悪いのかと悩んだり、人によっては生活に支障が出ないなら、車の運転をやめてしまうこともあります。

 一般的な感覚で人に怪我を負わしたり、故意ではなくとも人を傷つけてしまうと、反省するものなのです。

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怒っても上手くなりません

 クラブ活動や少年野球などで選手がミスをすると怒っているコーチがいます。「ボサッとするな!」「気合入れろ!」「もっと集中しろ!」具体性に欠ける指示ですが聞き覚えがあると思います。

 

 怒っている人は、怒ることで相手が次はミスをしないと思っているはずです。あなたも経験的に効果がありそうな気がしているかもしれません。

 怒鳴りつけると気を引き締めるので次は良いプレーをする。良いプレーをした時に褒めると調子にのって気が緩んでミスにつながると信じている人もいます。結果的にずっと怒っているだけの指導者になってしまいます。

 

 しかし、これは全くの誤解です。

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