人生の目的は自分で決める

 Psychology Todayの記事「人生の中であなたの目的を見つけるための近道”The Shortcut to Finding Your Purpose in Life”」から。

 振り返ってみると学校の中で人生の目的なんていう話しをした記憶が無いですね。年代や地域によってはあったのかもしれませんが、将来の夢として何か職業を聞かれたような気はします。
 夢=職業というところが既におかしい気がしますが、教育現場にも諸事情があるのだと思います。そもそも小学生だと知っている仕事のイメージが表面的なものだけでしょう。

 

How to settle on a purpose that fits your current life stage? There is a technique you can use that is immensely valuable – but astonishingly most people ignore it.
 あなたの現在のライフステージに合った目的をどうやって決めますか?非常に貴重なあなたが使用できるテクニックがあります – しかし驚くべきことにほとんどの人はそれを無視します。

 Interview your future self
 将来のあなた自身にインタビューしてください。

 NLPの手法にタイムラインという自分の未来をリアルに想像して、そこから現在の課題を解決する方法がありますが、ここではそうではなく、自分のロールモデルになりそうな人にインタビューしてアドバイスをもらうという方法です。

 役立つアドバイスもたくさんあるとは思いますが、時代に合わせて価値観も変化してきます。ロールモデルの人が現役だった頃の世間の情勢と現在がどのように変化したのかも考慮して聞く必要があります。
 

Experiments have shown that when people are made to think in detail about their future selves, they are more likely to make better financial planning decisions, show altruistic behavior, and make more ethical choices.
 実験は、人々が自分たちの将来の自己について詳細に考えさせられたときに彼らはより良い財務計画の決定をし、利他的行動を示し、そしてより倫理的な選択をする可能性が高いことを示した。

 自分の将来について考えることはポジティブな効果があります。この他にもその将来を実現するために、小目標を立ててそれを達成すれば脳内物質のドーパミンが活性化して気持ち良くなり、さらに行動したくなるなどの好循環がおきます。

 

 二日続けて2~3時間のセミナーを受講する機会があり、どちらも価値観や達成したい計画の目的を重視する内容でした。
 人に説明すると、ひとりで考えていた時には明確にしたつもりでも案外と煮詰まっていないことが分かります。私たちはやり方については、説明したりされたりすることに慣れていても、目的や価値について人と話す機会は意識していないとなかなか作りません。
 
 目的も一回で完璧に仕上げるのではなく、行動してまた人の意見を聞いてブラッシュアップしていくことで、より自分にしっくりくるものができてきます。
 大局観を持ったロールモデルになってくれる人と出会うのは難しいかもしれませんが、コーチングのコーチのように傾聴して受け止めてくれる人と話すことで視点を増やすことはできます。コーチでなくとも気の合う仲間同士で集まって(今ならオンラインでも)互いに聞きあう場を作っていければ人生の目的を決めることも促進されます。
参照
The Shortcut to Finding Your Purpose in Life” Karl Pillemer Ph.D. 2016 Psychology Today
The Legacy Project

想像力が組織をまとめてくれる

 TEDGlobalLondon「なぜ人類は台頭したのか”What explains the rise of humans?”

 「サピエンス全史」や「ホモ・デウス」の著者であるユバル・ノア・ハラリさんの動画です。時期的には「ホモ・デウス」の出版される少し前のようです。

 単独ではチンパンジーにも勝てない人間が、何故世界中に広がって繁栄できているのか。
 この謎に対して「想像力を獲得したから」と説明しています。

The answer is our imagination. We can cooperate flexibly with countless numbers of strangers, because we alone, of all the animals on the planet, can create and believe fictions, fictional stories. And as long as everybody believes in the same fiction, everybody obeys and follows the same rules, the same norms, the same values.
 答えは私たちの想像力です。私たちは無数の見知らぬ人たちと柔軟に協力することができる地球上で唯一の存在です。そして、皆が同じフィクションを信じる限り、誰もが同じ規則、同じ規範、同じ価値観に従います。

 この想像力があるから、同じ虚構を信じて良く知らない他人とでも集団を作り共力できるのです。

 

 虚構というと字面から嘘とかでっち上げ(フィクション=ありえない作り話)のイメージが先行するのですが、そういったネガティブな意味ではなく、理想や希望に近いものです。

 経営戦略を作る時や個人のコーチングでも、まずビジョンを描きましょうと言います。この時のビジョンはミッション、目的、ありたい姿、価値、ビッグピクチャー等々表現は様々ですが、フィクションという言い換えも可能です。ただ、多くの人を巻き込み、強くそれを信じるにはやる気が出るような言葉を選んだほうが良さそうです。

 チームビルディングではチームのビジョンがメンバーそれぞれのビジョンと何らかのつながりがある事がモチベーションにも影響します。
 チームが良くなれば(ビジョンを達成すれば)自分にも良いことがあると思えればやる気も出ますが、チームがビジョンを達成しても自分には何もなければどこか他人事にしかなりません。

 

 人類が作り出した虚構としてお金、宗教、法人、国家など説明されますが、詳しくは「サピエンス全史」を一読されることをお勧めします。
 上下巻でページ数もそれなりにありますが興味があればすぐに読み終わるくらいに面白いです。
参照
What explains the rise of humans?” Yuval Noah Harari 2015 TEDGlobalLondon
サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福” Yuval Noah Harari 2016 河出書房新社

5秒以内に動くことの効果


 TEDxSF「自分をダメにするのを止める方法”How to Stop Screwing Yourself Over”

 

 テレビやラジオの司会としてやベストセラー作家としてなど様々な分野で活躍し「motivational speaker」と呼ばれているMel Robbinsさんの動画です。

 主張は単純明快です。
 「欲しいものに向かって、つべこべ言わずに行動しろ」という思想です。
 ただし、単純であることと簡単かどうかは別ものです。

 大概の人は欲しい結果やなりたい将来があるのに、あれこれ(結果やコスト、将来への影響など)考えて行動できないか、諦めてしまい行動しないで悩んでしまう。

 じゃあ、どうすれば良いのか?
 「5秒以内に動け」と分かりやすい方針です。
 分かりやすいからできるのかというとそれも別物ですが。

 だから強制的にでもできるように「自分自身をしつける”parent yourself”」ことが大切になります。
 

And by “parent yourself”, I mean it’s your job to make yourself do the crap you don’t want to do, so you can be everything that you’re supposed to be.
そして、「自分自身をしつける」とは、やりたくないことを自分でできるように仕向けることがあなた自身の仕事です。

 

 この考え方が役に立つ時もあると思います。でも、ウツなどで精神的に追い詰められてる時は逆効果なので、人それぞれの人生の山と谷を見きわめて使ったほうが良さそうです。

 特に間違えてはいけないのは、この話は自分がやりたいと思えることに向かって行動していくことを勧めています。「自分自身をしつける”parent yourself”」嫌なことでもできるようにすると表現していますが、その瞬間的につらい行動をとることで、将来的に良いこと楽しいことがあるとポジティブなイメージができる目的に向かう行動です。

 やっても良いことがなさそうだけれど、やらないと怒られるからとか、仲間に(組織に)いられなくなるからといった罰を回避するために行動するわけではありません。

 

 新入社員研修中だったり、営業部署への配属直後の新入社員の人たちが、駅前で大声で歌を歌わされたり、とにかく誰でも良いから名刺交換してもらおうとしてたりするのを見聞きすると(最近はだいぶ少なくなったと思います)その狙いと行動がはたして合致しているのか疑問です。
 「とにかく行動すれば良い」という考えで、馴染んでその後上手くいく人もいますが、馴染めなくてドロップアウトする人もいます。篩(ふる)いにかけて残った人だけ伸ばしていく方が企業の戦略として楽なのかもしれませんが、それでは組織としての多様性は失われてしまいます。

 

参照
How to Stop Screwing Yourself Over” Mel Robbins 2011 TEDxSF
Mel Robbins 個人サイト https://melrobbins.com/
The 5 Second Rule: Transform Your Life, Work, and Confidence with Everyday Courage ”(未邦訳)

 

ヘミングウェイ効果:続けるためのモチベーションの上げ方

 Scientific Americanの記事「失敗を成功に変える方法”How to Turn Failure into Success”」から。

 

 心理学の用語で「ツァイガルニック効果」というものがあります。人は、完成した課題よりも未完成の課題の方が記憶に残りやすいというものです。
 逃した魚は大きいということわざもあります。あとちょっとで手に入ったとか、完成できると思っていることを途中で止められると、残念な気持ちで悔しくなるので完成させたいと思ったり、実際よりも大きく価値があったように記憶するのでしょう。

 ヘミングウェイは、この途中で止められると完成させたくなるという心理を執筆のモチベーションを保つのに使っていたようです。
 文章を節ごとに書き上げるのではなく、わざと途中の区切りの悪いところで一日の執筆を止めることで、翌日もすぐに取り掛かれるようにしていました。

The Hemingway effect: How failing to finish a task can have a positive effect on motivation
「ヘミングウェイ効果:仕事を終えられないことがモチベーションにプラスの効果をもたらす可能性がある」
In sum, the findings of this study indicate that under certain conditions, failure to finish a task can have beneficial effects on motivation to persist and continue the task. Implications for practice – particularly in educational contexts – are discussed.
要するに、この研究の発見は、ある条件下では、仕事を終えられないことが、仕事を持続させ続けるための動機づけに有益な効果をもたらし得ることを示している。特に教育の文脈で実践への影響が議論されています。
上記は「Thinking Skills and Creativity」より引用

 完了させることでえられる達成感を中途半端に阻まれるので 、次回取り組む時に完了できることがメンドクサさを超える報酬になります。
 取り組むと報酬があると期待できるのでモチベーションが上がります。
 
 ポイントは完了させる方法が分かっていることで、どうすれば完了させられるのか、まるで見当がつかない問題では効果が薄いように思います。

 
 途中で投げ出さずに続ければ目標に到達できる(完了できる)確率は上がります。

Couch, whose work was also featured in the special issue, adds that we “should really be thinking of failure as part of a process of iterating toward success.”
その仕事が特集号にも掲載されたCouchは、「私たちは本当に成功に向かって繰り返すプロセスの一部として失敗を考えるべきである」と付け加えます。

 目標未達=失敗と捉えるのではなく、成功までの途中経過だと考えられれば続ける気持ちにもなります。また、失敗したくないから新しいことを始めないではなく、新規の取り組みへのハードルも下がりますね。

 

 現実には期日やコストの問題で完了まで続けられないこともたくさん経験します。
 続けられなくなったから、その経験は全てが無駄で廃棄するという考え方ではなく、次のチャンスにこの経験を活かすという長期の視点で見られれば、不遇にも一喜一憂せず 取り組んでいけます。
参照
How to Turn Failure into Success” Rachel Nuwer2019 Scientific American
The Hemingway effect: How failing to finish a task can have a positive effect on motivation” Yoshinori Oyama 他 2018 Thinking Skills and Creativity

薬でやる気にすることの功罪

 Scientific Americanの記事「人工的なやる気の問題”The Problem with Artificial Willpower “」から。

 コーヒーを常飲しているので、カフェインがやる気というか眠気を取って集中しやすい状態にしてくれているような気はします。コーヒーに頼ってる面もあるので、記事のように薬物で人為的にやる気にさせることの倫理的な側面を説かれるとちょっと気まずくなります。

 自分で自分に使うなら良いじゃないかというのはもちろんそうですが、 薬物を使って本人にとって価値のないことを強制する(ブラック企業の環境でも”働くことができる状態”にしてしまう)ことは、雇用関係が支配-被支配の関係になっている環境では危険だと思います。

Might we end up leading deeply inauthentic lives, using pharmaceutically-induced willpower to waft through a life that otherwise means nothing to us?
薬物によって誘導された意志力を使って意味のない人生を歩んでいくことは、自分にとって本物ではない人生を送ることになるのでしょうか。

 

 また、スマートドラッグ(日本国内では認可されていない)と呼ばれるものに認知機能を良くする(頭が良くなる)作用はないようです。 ただし使った本人は効果があったと信じ込んでしまいます。プラシーボで良いのならラムネをかじってた方が健康ですね。

These sentiments are in line with research suggesting that if these drugs have any impact at all, it’s largely subjective.
これらの感情は、これらの薬物が何らかの影響を及ぼした場合、それは主観的なものであることを示唆する研究と一致しています。

 

 たぶんモチベーションを上げる薬とは、嫌いなことを無理やりできるようになる薬ではなく、嫌いなものが好きになる惚れ薬じゃないでしょうか。それを使いたいかどうかは別問題ですが。
参照
The Problem with Artificial Willpower” Hazem Zohny  2015 scientific american
Enhancing Motivation by Use of Prescription Stimulants: The Ethics of Motivation Enhancement” Torben Kjærsgaard 2015
Objective and subjective cognitive enhancing effects of mixed amphetamine salts in healthy people” Irena Ilieva 他2012

能力の発揮できない、したくない?

 Harvard Business review「技能のある従業員が能力を発揮できない四つの理由”4 Reasons Talented Employees Don’t Reach Their Potential”」を読んで。

 仕事をこなす技能を持っていることとその能力を充分に発揮しているかは別の話です。
 本人の気持ちの問題もあれば、状況や環境でできなくなっているのかもしれません。
 場合によっては上司との相性が悪かったり、上司の側に問題があることも考えられます。

 リーダー(直接の上司ではない)から見て能力を発揮できていないと思った時に介入の視点としてこの4通りの切り口は役立ちそうです。
 だからと言ってすぐに解決できる話でもないんですが。
 
 ざっくり訳すとこんな感じです。
  ●仕事への適正
  ●ダメな上司
  ●社内の人間関係
  ●プライベートな原因
 詳細は原文をご覧ください。

 

 記事からは離れますが、多くの方にお伺いしているとこの二つもあると感じています。
 ●やっても良いことがない。
  能力を発揮して頑張ってもほめられない、さらに過大な要求をされる。
 ●このぐらいやっていれば十分と思っている。
  報酬に見合った仕事はしている。所掌はこの範囲までと自分で区切っている。

 やる気の問題ともいわれますがこっちのほうがまだ解決の糸口があります。

参照
4 Reasons Talented Employees Don’t Reach Their Potential” Tomas Chamorro-Premuzic 2019.3